はじまりは突然に

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「てぃやっ!」 「ぐっ、!」 見事な回し蹴りを決め込むと、その場にしゃがみこんだ1人の男。 「っ潤! お前は手加減ってもんをしらねぇのか?!」 「…郁」 その男は、あたしの双子の(一応)兄の郁だった。 郁は、その整った顔であたしを睨むと、スクリと立ち上がる。 「そんなに凶暴だと男出来ねぇぞ」 「余計なお世話ですぅー」 「…潤、てめぇ相変わらずだな…。 久しぶりにオフで家帰ってこれたっていうのによ…」 …確かに、郁が家に帰ってきたのって久しぶりだ。 郁はなんかのアイドルグループに入っていて、ドラマに映画にバラエティーに、あらゆるものに引っ張りだこ。 アイドルグループには興味ないけど、郁の出たドラマは見た。 ……先週最終回で、すごく、よかった…。 「あちゃー。 母さん、俺達の出てるテレビに夢中で俺の事に気付いちゃいねぇ」 郁の声にハッとして意識をもどすと、郁は疲れた様子で立っていた。 仕事いっぱいだもんね。 疲れてるか。 「郁、上いこうか」 「そだな」 あたしと郁は、二階に上がり、二人の部屋として使われている部屋に足を踏み入れた。
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