61人が本棚に入れています
本棚に追加
「てぃやっ!」
「ぐっ、!」
見事な回し蹴りを決め込むと、その場にしゃがみこんだ1人の男。
「っ潤!
お前は手加減ってもんをしらねぇのか?!」
「…郁」
その男は、あたしの双子の(一応)兄の郁だった。
郁は、その整った顔であたしを睨むと、スクリと立ち上がる。
「そんなに凶暴だと男出来ねぇぞ」
「余計なお世話ですぅー」
「…潤、てめぇ相変わらずだな…。
久しぶりにオフで家帰ってこれたっていうのによ…」
…確かに、郁が家に帰ってきたのって久しぶりだ。
郁はなんかのアイドルグループに入っていて、ドラマに映画にバラエティーに、あらゆるものに引っ張りだこ。
アイドルグループには興味ないけど、郁の出たドラマは見た。
……先週最終回で、すごく、よかった…。
「あちゃー。
母さん、俺達の出てるテレビに夢中で俺の事に気付いちゃいねぇ」
郁の声にハッとして意識をもどすと、郁は疲れた様子で立っていた。
仕事いっぱいだもんね。
疲れてるか。
「郁、上いこうか」
「そだな」
あたしと郁は、二階に上がり、二人の部屋として使われている部屋に足を踏み入れた。
最初のコメントを投稿しよう!