キラキラな世界

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かっこいいロック調の歌をダンスを交えて歌う四人。 舞台の隅から隅まで動き回り、うちわに書いてあるお願いを叶えたり、手を振り声援にこたえたり。 ファンサービスは欠かさない。 郁だって、いつもの郁じゃないみたい。 アクロバットをしたり、ソロパートをすっごく上手に歌ってて。 ーーーーこの瞬間を、シャッターで抑えたい。 ウズウズ、する。 ーーーーウズウズ、するのに。 この手がもう一度シャッターをきることは、一生ない。 「っ潤!」 「へ?!」 「ほらっ!郁くんこっち見てるよっ!」 「あ…」 舞台に立っている郁と、バチリと目が合う。 郁はあたしにイタズラに笑うと、バク宙をしてみせた。 「「「「キャーーーーーーッッッ!!!!!」」」」 女の子達の声援を背に、郁はあたしにベーッと舌をだす。 女の子達の声援が一気に大きくなった。 「見た?!今の郁くん見た?!」 「見た見た!! いつもはあんな顔しないのにねっ!」 「すっごいカッコ良かったっ!! やばいーーーっ!!!!」 「しかもこっち見てたよね?!」 「あーーんっ!! カッコよすぎっっ!!!」 「………」 す、すごいな…。 郁の表情ひとつで、女の子達をこんなにもメロメロにしちゃうなんて…。
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