61人が本棚に入れています
本棚に追加
興奮も冷めやまぬ中、あたしは沙羅に連れられて控室にやってきた。
バクバク高鳴る心臓の音に、あたしは純粋にRISEのコンサートに感動したのだと思った。
「潤。加宮嬢。こっちだ」
紫苑くんの案内で、最初きたところとは違う控室に通される。
「お前ら、入るぞ」
紫苑くんはみんなの返事も聞かないまま扉を開けた。
「潤!」
「ーーー郁」
そこにいたのは、汗をふき、やりきった笑顔を見せる郁。
あたしは思わず、郁に抱き付いた。
ぎゅうっ
「ぉわっ!
ちょ、俺今汗くせぇ、」
「郁!すごかったよ!」
「ーーーえ」
すごかった。
輝いていた。
「パフォーマンスも歌も、ダンスも、全部、感動した。
ただかっこいいだけじゃなくて、みんなの努力が見えて、感動したの。
女の子達が夢中になる気持ち、わかる気がするよ」
「ーー潤」
郁はあたしに腕を回し、ギュッとする。
だからあたしは郁の背中を、小さな子供をあやすかのようにポンポン撫でて、郁の心臓の音を感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!