61人が本棚に入れています
本棚に追加
「ーーー郁、それはーー…」
……兄妹として?
それとも、
それともーーーー…
「……なぁ紫苑。
潤の奴、何やってんだろうなぁ」
愛しいものでも見るかのような優しい微笑みに、俺はそこまで出かかった言葉を飲み込んだ。
気付かせてはいけない気がした。
いや、もう自分で気付いているのかもしれない。
ーーー…でももし、そうだとしても。
誰かの言葉で、それを伝えちゃいけねぇ。
俺は郁に向けていた視線を潤に戻す。
「午後4時から葉山グループで会議で、その後6時には自宅にいなきゃいけなくて…ーー」
「………」
何かを考えるように集中する潤。
加宮嬢は全てを伝え終わると、顔をあげた潤に携帯を渡した。
「(あれはーー…)」
加宮嬢が潤に渡した携帯はプライベートの携帯じゃねぇ。
加宮グループの携帯だ。
それを何故、潤に…?
潤は加宮嬢から受け取った携帯に、ペラペラと言葉を紡いだ。
最初のコメントを投稿しよう!