はじまりは突然に

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「そういえばさ、郁。 ドラマ、すごくよかったよ!」 話が面白そうだったから見ていたドラマ。 郁の出てるドラマだから見ていたわけじゃない。 でも普段見ることのできない郁の姿や、その格好良さに、あたしは思わず連ドラ予約してしまっていて。 もちろんストーリーも最高だったのだけれど。 「郁格好良かったよ!」 「…おぅ」 郁は柔らかく微笑むと、眠たそうにアクビをこぼす。 「眠い?」 「あー…」 「わっ! ここで寝るな!寝たら死ぬぞー!」 「死なねーよ、ばぁーか…」 「え、ちょ、ここで寝たらだめ!」 「スーー…」 あたしの叫びも虚しくぐっすりと眠りについてしまった郁は、本当に気持ち良さそうに眠っていた。 起こすの可哀想だなぁ…。 でもここ寒いし、湿気とかも…。 郁はアイドルなんだから喉大事にしなきゃいけないのに。 「(…よしっ)」 あたしは自分の部屋に駆け込み、加湿器と毛布を手に、もと居た部屋に戻る。 そして郁の側に加湿器を置き、毛布をかけた。 「…おやすみ、郁」 部屋の電気をパチンと消して、あたしは自分の部屋へと戻って行った。
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