カケラ、ほのか

3/6
前へ
/99ページ
次へ
「ーーー郁、」 あたしの腕を掴む、郁。 表情は、悲しそうで、あたしまで悲しくなる。 「ーー行くな」 「…はなして」 「…今、紫苑のところに行ったら、潤が泣くのは目に見えてる」 「……泣かないよ」 「潤は、泣く」 どうして郁はそう言い切るのだろうか。 郁は、あたしよりもあたしを知っている。 「…潤」 「…橘くん」 声の方には真剣な表情の橘くん。 橘くんはあたしから目を離さない。 「マネージャー補佐、やれよ」 「……え」 「何があんのかしらねぇけど、俺は潤にやってほしい」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加