第一章

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何気なく暮らす毎日は、捨てても構わないと思っていた。 楽しい事もなく、悲しい事もない、無意味と言っても良いくらいに何もない毎日が続いていた。 改めなくても、良い。 はい、何もない人間です。 それでも死ぬ程の勇気もないから、ただ生きているだけなんだ。 でもそんな人間は、俺以外にも数え切れない程いる。 当たり前みたいに、それが普通って事。 早く言ってしまえば、普通の人間です。 なんの特技もないし、特徴もない。 必死になって探すのも面倒だから、そのままで良いやって事。 あの日が来るまでは。 それは父親が、運転免許を取って二週間くらいしてから、車で家族旅行に行っていた。 父親は、貿易会社の社長をしていて、ずっと忙しい毎日だった。 そんな中、少ない時間を利用して、自動車学校に通っていた。 やっと念願の免許取得。 早速、父親の運転で熱海に温泉旅行に行っていたんだ。
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