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「その時も……まだあたしは処女だった……」
ボソッとつぶやくあたしに中里先生が聞き返してくる。
「はい?なんて言った?聴こえなかった……」
「ううん!なんでもないのよ!あ、それから?……そうだ、中里先生はどうしたのよ!?まさかあたしを置いて帰ったとか?」
こらーっ!!と怒鳴るあたしを中里先生は呆れた眼で見ていた。
「何言ってるのよ……私も一緒に居たでしょうが……誰かさんがカラオケボックスの代金払うことになって、あたし一人じゃお金足りなーい……なんて泣きついてきてさ……」
「あ。チッ、忘れたままにしておけばよかった……」
舌打ちするあたしに掌を出してくる中里先生……
「昨日のカラオケ代と飲み代私が立て替えたの……きっちり払ってもらうわよ2万円」
「2万円ーっ!!そんなに飲んだの!?みゆき!!」
もはや先生なんて言ってられず呼び捨てになっていた。
「飲んだのはアンタじゃ!!」
「へ?」
ビッ!と人差し指を向けられ顔がひきつるあたし……
「覚えてないみたいね……カラオケをやらされて、生徒達から歌が上手いだの、リズムがいいだの、おだてられ、気分よくしたアンタは自分からお酒を注文しだしたこと……」
「え?え?あたしが?まさか~?」
苦笑いで、ナイナイと手を振る私だが、みゆきは話を続ける……
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