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「変なことってなんだよ。」
「だって…………、急にそんなこと言い出して、わ、私のこと好きだなんて、さ…………。」
ブツブツ言う私に対して、音弥は大きく溜め息をつく。
「あのなあ、急にじゃねーよ…………。」
「えっ?」
「ま、ともかく。俺は気付いちまった以上、お前以外のやつと結婚する気ねーから。お前も、真剣に考えてくれ。」
「あ、ここ、俺の奢りな。」と伝票を持って立ち上がる音弥。
私が何も言えずに、ただ音弥を見ていると、音弥が私の頭を撫でてきて。
「…………俺、これから全力でアプローチかけてくからな。覚悟しとけよ?」
「っ!」
そう言うだけ言って、会社に戻っていった。
「………止めてよ。その目。かなり、卑怯───────。」
テーブルにぐったりうなだれる私。
音弥の今の、目。
あれは、歴代の彼女たちに向けられていた、愛おしい人を見る目、だった………。
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