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「………………。」
淋しげに笑う音弥に何も言えず、俯いてしまう。
「じゃあ、もう、行くわ。楽耶、頼むな。」
視界の中で、音弥の靴が玄関の方を向く。
「ねえ、音弥…………。」
「ん?」
「私、音弥の為に何か出来ることない?」
音弥が、ゆっくり振り向く。
「何が出来るか分からないけどさ、出来ることがあったら、何でもするからさ?だから………。」
「あるよ。透子に出来ること。」
「えっ!?ホント………!」
嬉しくなって、ガバッと顔を上げ見えたのは、意地悪そうに微笑む音弥。
あ、ヤバい。
頭の中で、そう瞬時に思った時には、すでに遅しで。
素早い動きで、私の後頭部と腰をホールドした。
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