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どのくらいの時間、そうしていたんだろう?
「…………何してるの?透子ちゃん。」
楽耶ちゃんの声で、自分がずっと玄関先で座り込んだままだった事に気づいた。
「えっ!?楽耶ちゃん!?
あれ?もうお風呂上がったの?」
「うん。おっ先~。」
何も知らない楽耶ちゃんは、私を不思議がる事なく「テレビつけていい?」とリビングの方に行ってしまった。
………私、何してんだろ。
フラフラと立ち上がり、脱衣場に向かう。
「私もお風呂入るね。冷蔵庫に飲み物入ってるから、好きなの飲んで。」
「ありがとー!透子ちゃん。
あ!!雅くんから電話だ!!」
嬉しそうに電話に出る楽耶ちゃん。
…………凄い。
一瞬で楽耶ちゃんの周りに、お花が咲いたよ………。
好きなんだって気持ちが、楽耶ちゃんから溢れてるのが、凄く分かる。
あんな気持ち、いつから感じてないんだろう?
音弥の気持ち。
私の気持ち。
美空の言うとおり、あいつの気持ちが真剣なら、私は逃げてちゃいけない。
鏡に映る、自分の体。
音弥がつけた、胸元のキスマーク。
そこに、そっと触れて自分の気持ちを探ってみたけれど、今の自分には、どうするべきか少しも分からなかった。
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