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俺が打席に立つと、守備に就いている相手選手全員が、右に5メートルくらいずつ、そそくさと守備位置を変えた。
俺の右打ち対策か。
しかし、そんなことをしても、スタンドに放り込むから関係ないもんね。
ん?
いや、まてよ………。
野手全員がもれなく右に寄っているだと。
「スカイスターズのピッチャー山本は、川田、柴崎と2者連続三振で続投です。対するは右バッターの新井……サインに頷きまして、新井にたいして第1球を投げました!あっ………セーフティバントだ!」
予想通りに初球はインコースに食い込むスライダー。ハーフスピードのボール。ベルトに近い高さだから、凄くボールは見やすくバットに当てやすい。
しっかりと角度を狙い澄ます。
そんなボールをコツンとバントして、俺は1塁に走り出す。
チラリと横目に見ると、ボールは3塁線ギリギリに転がっていた。
1塁まで気を緩めることなく走るが、1塁ベースに送球されなかった。
サードがポイッとボールをピッチャーに返す。
それくらい余裕セーフのタイミングだったようだ。
「スカイスターズ守備陣が右に寄ったところ、新井が3塁線へ意表を突くセーフティバント。これが成功しまして、2アウトランナー1塁。新井の打率も.411に上がりました」
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