せっかく1軍に上がったのに、バントしかさせてもらえない。

4/28
2286人が本棚に入れています
本棚に追加
/3000ページ
「ね、ねえ。それにしても。あんた、いいバントしたわよね」 「ぐうぐう」 「ちょっと! 寝ちゃったの! チョー、ウケるんだけど!」 ギャル美ちゃんが車を運転しながら、バックミラーで俺の様子を伺う。 そして、むずかゆそうに今日の試合の話をしてきたので、ギャル美の真後ろの座席でぐうぐうと寝たフリをしてやった。 横でみのりんが寝たフリをした俺をみながらクスクスと笑う。 「マイちゃん。新井くんは寝てないよ」 「ちょっと! ふざけてるなら、車から降りなさい! チョー、ウケる」 ギャル美ちゃんの口調は怒っているようなものだったが、バックミラーに映るギャル美ちゃんは俺よりも楽しそうにニヤついていたのだ。 「あの、新井さん」 助手席に座るおっぱいちゃんが口を開く。 「どうしたの? 山名さん」 「私、好きになっちゃいました」 「まいったなあ」 「あの。もちろん、新井さんのことじゃなくて、野球がです」 分かっとるわ。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!