俺がいなくなった途端、チームは突然勝ち始めた。

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「新井くん? どうしたの? 何かあった?」 自分では普通に装っていたのだが、ご飯を用意するみのりんにはバレてしまったらしい。 「うん。実はさ、今日の試合が終わった後にさ、どうも不甲斐ないチームを見てて腹が立ってしまって、みんなの前で暴れ回り………柴ちゃんと浜出君に天誅を下したら、結果俺が2軍に落ちることなったんだ」 そう伝えると、大皿を棚から出すみのりんの表情が一瞬動揺したものになった。 しかし、それもほんの一瞬だった。 「大丈夫。きっと新井くんはすぐ1軍に戻れるよ。だって、今となってはチームに欠かせない存在だから。私にはそう見えたよ」 本当は俺が2軍に落ちただの、代わりに誰が1軍に上がっただのという公示は明日の昼頃に出るので、みのりんとはいえ、他人に言うもののではないのだが、みのりんは優しい言葉を俺にかけた。 しかし、地上波や栃木TVでは放送されていない東北との試合を見てたような口振りをどうしてこの内気色白眼鏡さんがしていたのかと考えていると……。 「マイプロパーフェクトTVに入ったよ。だから、プロ野球の試合は全部見れるの。マイちゃんが一緒にお金出して加入しようってうるさくて」 へえ。マイちゃんがマイプロTVねえ。
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