俺がいなくなった途端、チームは突然勝ち始めた。

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「新井くん。よう戻ってきたやんけ。ほな、トレーニングいこか」 「げー。それよりバッティング練習させてよー」 朝8時。恐る恐る2軍の練習場に行ってみると、球場の入り口で関西弁コーチがニタニタしながら俺の到着を待っていた。 俺が2軍監督にあいさつに行っている間もロッカーで着替えている間もなんだな嬉しそうに俺の後を着いてきていた。 「なんなんすか、もう。気持ち悪いよ」 「ええやんけ。はよトレーニングやろうや」 一応俺は1回1軍に上がって代打でバントとはいえ、試合に出てたからね? フリーバッティングとか守備練習とかやっておきたいわけよ。 「ええねん、ええねん。そもそも君が1軍に上がったことがハプニングやねん。本当はどんなことがあってもオールスターまでは新井くんは1軍に上げへん約束やったんやで? それまでの半年間のトレーニング組んでたんやから」 「それがおかしいのよ。誰の指示なのよ、それは」 「アメリカの親会社のオーナーやん。あの真っ赤なスーツのおばちゃんの命令やで」 あ、そう。それはもう何も言えないけど。
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