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「1回裏、北関東ビクトリーズの攻撃は、1番、センター柴崎」
大陽が高く。1番高く上がっただろうと思わしき頃、大阪ジャガースとの試合が開始された。
1回表、うちの先発である千林がジャガースの攻撃をワンツースリー。球数10球の省エネピッチングを披露、なかなかの立ち上がりでテンポよく裏の攻撃が始まる。
去年よりも襟足が長く。髪色の少し茶色がかっている柴ちゃんが左バッターボックスに入る。
ヘルメットの鍔を触りながら主審と相手キャッチャーに軽く挨拶をして、足場をならす。バッターボックスの1番後ろに左足を置くと、腰を少しくねらせるようにしながら、ピッチャーの方に視線を移し、バットを高く構える。
なんだか打ちそうな雰囲気だ。
初球ワンバウンドの変化球、2球目は真っ直ぐが高めに外れてからの3球目。
カアンッ!
ど真ん中に入ってきた甘いボールをナイスミート。しっかり振り切ったスイングで捉えた打球は低いライナーとなり1、2塁間へ。
ファースト、セカンドが瞬間的に追うのを止めるような打球があっという間にライトの元までたどり着いた。
ゆっくり1塁ベースを回った柴ちゃんが1塁ベースコーチおじさん、丸山さんとグータッチを交わす。
「2番、レフト、新井」
1塁ベンチ裏とバックネットの辺りのお客さんから僅かばかりの拍手と歓声が聞こえた。
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