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右打席に入り、バックスクリーンが見える景色を見上げる。俺にとっては今年初めてとなる、ビクトリーズスタジアムでの試合。
両チームのスタメンと打席に入っている自分の姿が写し出されている、大きくデカイ青色のバックスクリーン。
自社製品であるビクトリアガレットのデカイ看板が左に見えて、右中間には大きなセカンドモニター。
そこには相手ピッチャーと俺の歯を見せるようにしながらニッコリと笑う写真が画面いっぱいに表示されていて、2人の間にただいま対戦中という文字がメラメラとした炎に包まれている。
両者の顔写真の下には、生年月日、年齢、血液型、身長、体重、出身地などがバラされていた。
さらにその下には昨シーズンと今のオープン戦の成績も。
あまり知らないピッチャーだなあと思っていたけれど、彼の昨シーズンの成績は全部横棒なのを見るに、去年までずっと2軍で下積んでいた選手なのだと分かった。
そのピッチャーがサインに頷いてセットポジションに入る。
特にベンチからのサインや指示はないが、柴ちゃんはいつでも好きな時に走っていいグリーンライトランナーなので、盗塁の邪魔はしないようにしようと、とりあえず真っ直ぐのタイミングに張る。
初球、その通りの真っ直ぐ。ドンピシャのタイミングだった。
カシッ…………。
フルスイングしたが、手元に残ったのはボールにかすっただけの感覚だった。
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