2295人が本棚に入れています
本棚に追加
ノーアウトランナー1塁。カウント2ボール2ストライクとなり、俺はそこから立て続けに4球ファウルを打つことになった。
しかしそれはピッチャーのボールになんとかギリギリのところで食らいつくようなファウル。
1度もバットの芯近くに当たることはなく、しかし空振りにもならない。
カス当たりがキャッチャーの足元に飛び込んだり、どん詰まった打球が1塁線近くにコロコロと力なく転がったり、引っ掛けた打球を3塁コーチおじさんに素手でキャッチされたりというくらいの打球しか放てない。
それでも気付けば11球目。インコースに沈んできたボールを打ちにいったが、これも捉えることは出来ず。
ピッチャー前に跳ね上がるゴロになってしまった。
ああ………。
と思いながらも、バットを放って1塁に走り出す。とりあえずは全力で走り、1塁ベースを踏み最後の1歩も大きく踏み出してはみたものの、余裕のアウトだった。
バックスクリーンに写し出されたリプレイを見ながら1塁ベンチにてれんこてれんこ戻る。
「ナイス進塁打!」
「ナイス粘り!」
「ナイスねばねば!」
チームメイト達は、俺のかわいいおケツを触りながら笑顔を見せた。
まあ確かに、なんじゃそれみたいな打球だったが、ランナー2塁になったし、打率が下がる送りバントをしたと思えばいいかと、とりあえず切り替えることにした。
最初のコメントを投稿しよう!