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カンッ!
「阿久津、初球を打っていった! いい当たりが三遊間! サード飛び付くが、抜けたー!!」
狙い済ましたように、インコースの速いボールを阿久津はさんは見事に打ち返した。ベテランらしい、どっしりとした構えから、足を引くように小さく上げ、コンパクトなスイングでインコースの142キロのボールに対応。
ダイビングキャッチを試みたサードが伸ばしたクラブが地面に着く前に、打球はあっという間にその横を抜けていく。
ワアッ! と歓声が上がり、レフト線に沿うようにして打球は這うように転がる。
深めに守っていたレフトが打球になんとか追い付いたが、横に走って、グラブにボールを収めた体勢が悪くてはとてもバックホームは出来ない。
そのボールをもらった中継のショートが振り返った時には、柴ちゃんが俊足を飛ばして一気にホームを駆け抜けたのだった。
ビクトリーズに先制の1点が入った。
さらにその直後。
カアンッ!!
4番の赤ちゃんも低めのストレートをジャストミート。左バッターが右中間を真っ二つに破るカッコいい打球。
相手の中継がポロポロすり間に、阿久津さんは一気に3塁を蹴ってホームイン。打った赤ちゃんも3塁へ滑り込みニッコリとマッスルポーズを見せた。
さらに5番のパスタマンも………。
カッシャンッ!!
これも芯で捉えた打球。スイングしたシェパードの後ろ足の膝が地面に着くくらい、体を仰け反らせて掬い上げた打球が高々と左中間へ。
さすがにホームランにはならなかったが犠牲フライには十分な飛距離。
赤ちゃんがゆっくりホームインしてあっという間の3得点。本当に北関東ビクトリーズなのかと俺は疑問に思ってしまった。
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