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焦れば焦るほど、時が立つのは早いもので3月のオープン戦日程が瞬く間に消化されていく。
大阪ジャガースとの2連戦、埼玉との2連戦。愛知ドラゴンスとの3連戦と7試合経過しても、俺のピンクバットから快音は聞こえず。
打席の中でボールが見えてはいるが、なかなかいい結果には結び付かない。それなりにいい当たりが出始めているのだが、調子の殻を破れないそんな状況。
隣のクラスにいるちょっと気になる子と話をする機会はあったが、なかなかそれっきり。廊下ですれ違っても挨拶をしたりしなかったり。相手の視線が感じるような気のせいのような。
何か1つきっかけがあれば一気に仲が進展しそうな雰囲気はある。そんな塩梅だ。
この日もそう。
カウント3ボール2ストライクとなったわけだが、自分の中ではとっくに押し出しのフォアボールを選んで1塁に歩いているはずだとそう考えながらピッチャーのボールを待っていた。
ローテーション入りを狙う若手のピッチャー。京都パープルスのピッチャーがセットポジションから思い切り腕を振って低めに投げ込む。アウトコース低めのボール。
コースギリギリだが、外に曲がり行く軌道を見極めて俺は振り出したバットを止めた。
バシィと捕球する音が響いた後、ストライク、バッターアウト!!
「ええっ!?」
俺は思わず声を出して、主審の方を振り返ってしまった。
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