ヒットが出ない新井さん。

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「でも、一緒に来てくれるんですか!? せっかくのお休みなのに?」 「ちょうど時間空いてるし………。ほら、君はつい先日ひったくりに会ったばかりだし。今日もそのバッグに大金が入ってるんでしょ?」 「はい、それなりに」 「俺もさやかちゃんがどんな学校に通うのか興味ありから、付き添わせてくれよ」 「分かりました! それじゃあ、一緒に行きましょう!こっち方向ですよ!」 「とりあえず、手繋ぐ?」 「みのりさんに言いつけますよ?」 「君も成長したようだね」 今日は北からの風が少し強く吹いているが、空はこれ以上なく快晴で、宇都宮の街中をポニテちゃんと並んでルンルン気分でお散歩する。 途中、めざといおばちゃんに握手を求められたり、木に引っ掛かった風船と取ってあげたり、大荷物を持ったおばあちゃんをおんぶして歩道橋を渡ったりしながら歩くこと10分少々。 「おー、ここかー」 「はい!」 岡本トレーナー専門学校と看板の出ている建物に到着した。元は何があったか忘れたが広い敷地にデンと建てられた3階建てと2階建ての建物があった。 「早速、支払いに行ってきますね」 「おう」 大きい方の建物の正面玄関でスリッパに履き替え、すぐそばの事務所に向かう。 「どうもこんにちは。新しく入学される生徒さんですね?」 対応に出てきたのは、パーマのかかった髪の毛を後ろで束ねた50歳くらいのおばさま。 「それでは、こちらの用紙の太枠の中を記入して頂いて、ご本人確認出来るものと、印鑑をご用意してお待ち下さい」 「はい、分かりました」 さやかちゃんの他にも、同じくらいの年齢の男女が3人ずつ居て、同じように入学金と授業料の支払い訪れているようだ。 みんなロビーに用意されたテーブルに着き、用紙に向かってボールペンを走らせている。
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