2295人が本棚に入れています
本棚に追加
早くきた1人目、2人目、3人目と事務所の中に入っては出て行く。
「山名さーん。山名さやかさーん」
呼びにきたのは、パーマのかかったおばさまではなく、その方よりも若い30歳くらいのスーツ姿の女性。用紙と運転免許証と印鑑を持ったポニテちゃんが立ち上がり、ちょっと緊張した面持ちで事務所に入っていった。
俺はその間にもやってきた入学者達の案内を勝手に行った。並べたパイプ椅子に、その入学者達を順番ごとに座ってもらい、近くにあったパンフレットなどを渡して待ってもらっていた。
そんなことをしていると、手続きを終えたポニテちゃんが領収書を手に事務所から出てきた。
「おっ、さやかちゃん。終わった?」
「はい、終わりました。お待たせしてすみません」
「なあに、いいってことよ。お金はちゃんと支払えたのかい?」
「はい、滞りなく」
「そのお金、ちゃんと事務員さんが金庫に入れるところまで見届けた?」
「え?」
「ほら、持っていこうとすれば持っていけちゃうじゃない。ちゃんと鍵付きの金庫に入れてくれたか確認しないと」
「変なこと言わないで下さいよ。それより、お腹すきましたよね」
「ほんとだ。もうお昼だね。どっかでご飯食べに行こうか」
「はい!」
「何、食べたい?」
「なんでもいいですよ!」
「顔にお寿司って書いてあるけど」
「どうして分かったんですか?」
「4割打者だからね」
「今は0割打者じゃないですか」
「君にも言われるとは」
最初のコメントを投稿しよう!