プロ野球選手になれたが時給が上がらない。

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「やっぱり、福岡は強いっすよね! なんたって、あのトリプルスリーの選手がいるんですから!」 後輩はもう何杯目か分からない梅酒のロックをグビグビいきながら大好きな野球の話をしている。 歳は少し離れているけど、野球好き同士わりと話は合う。 休憩や仕事終わりの談笑の時間ではほとんど野球の話。 贔屓のチームの話や話題になったプレーの話など、絶えず話は尽きない。 特に来年からは栃木に新球団が出来るからより一層野球の話にも熱が入る。 「昨日、北関東ビクトリーズのトライアウトがあったんすけど、アニキの同級が受けにいって、1次で落とされたらしいっすよ。大学でもレギュラーだったけど、やっぱレベル高いみたいっすね」 俺がそのトライアウトを受けた事などしるはずもく、彼はまるで自分が受けたかのようにトライアウトの話をしている。 俺はもうすぐに迫ったドラフトで合否が分かるところまで進んだ事を言いたくてたまらない衝動にかられたが、すっかりぬるくなった苦いビールと一緒になんとか飲み込んだ。
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