プロ野球選手になれたが時給が上がらない。

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「それでは、競合となります3球団は壇上へお進み下さい」 テレビでは、唯一の競合となった怪物級高校生投手の抽選が行われている。 2分後。歓喜のガッツポーズをしたのは、東京に本拠地を置く球団の監督。 MAX155キロの怪物右腕はリーグ3連覇中のチャンピオンチームの選択権が確定した。 画面が切り替わると指名された高校生投手のほっとした安堵の表情が写し出された。 何度も何度も拳を突き上げ、当たりクジを引いて喜ぶ監督のインタビューが行われ、会場の贔屓のファンが喜び回りながら、その監督に拍手を送っている。 自分の行きたい球団に見事指名された者がいれば、希望ではない球団に指名され、複雑な表情をする選手もいる。 プロ野球のドラフト会議は、指名1つ抽選1つで、1人の選手の人生が決まる、ある意味残酷であり、希望に満ちあふれたドラマチックものでもある。 しかし、5巡目、6巡目、7巡目になっても、パチンコ屋でアルバイトをする28才のフリーターの運命が決まる事はなかった。 まあ、こんなもんだよ。 気晴らしにパチンコでもいこうか。
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