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「新井君。無線取れる? 手空いたら面談やるから事務所来て」
パチンコ店では、たくさんのパチンコスロット台が稼働しているため、側に寄らなければ言葉を交わす事も難しい。
そのため、携帯電話よりも少し大きいサイズの無線機を腰につけ、イヤホンを片耳に装着している。
お客の獲得した出玉を計数していると、店長からお呼びの無線が入った。
出玉を記録したレシートをお客に渡し、自分の持ち場になっていたシマを同僚スタッフに任せ、俺は事務所へと入る。
そこには店長1人しかいなかった。
「悪いね。君だけ評価面談が終わってなかったからすぐにやっちゃおう」
店長は数枚の用紙を持ち、向かいに椅子を用意し、俺を促す。
たまたま自分の仕事が片付いた時に、俺の評価面談を思い出したものと推測出来る。
「それじゃあ、始めよっか。まずは、いつも通り遅刻欠勤はなしで…………。通常業務も問題なしと。最近は新人スタッフの指導にも積極的に力を入れていると。…………ん? ちょっとごめん系列店から電話来ちゃった」
店長は面談の用紙を持ったまま受話器を取ると、すぐ笑い声を上げながら電話の向こうの相手と話を始めた。
これは最低5分は待たされるな。
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