プロ野球選手になれたが時給が上がらない。

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「いやー、ごめんね。話が長引いちゃってさ。………どこまで話したっけ? ………そうそう。それで、勤務態度もよくて、結構常連さんから元気がよくて、丁寧な接客だってよく耳にするんだよね」 店長は受話器を戻すと、紙コップに入ったコーヒーを啜りながら話を続ける。 俺なりに頑張っていたつもりなので、店長の口からはお褒めの言葉が溢れんばかりに出てくる。 この調子なら先月に続いて更なる時給アップは確実だな。 「それでこれからの時給なんだけど、本当は10円上げたかったんだけど。新人スタッフの研修明けと重なっちゃってさ。今回は時給変動なしでお願いしていいかな?」 なんだと。あんだけ誉めといて。しかも評価額面談の採点はほぼ満点。 それなのに、新人スタッフの方が優先にされてしまうのか。 まあ、いいけど。 「ごめんねー。助かるよ。次の面談では、今回の分のお詫びするからさ。ほんとありがとう。それじゃあ、ここにハンコ押してくれる?」 提示された用紙には据え置き時給の1250円がそのまま。 俺は胸元から印鑑を取り出し、自分の横にゆっくりと押してやった
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