プロ野球選手になれたが時給が上がらない。

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「初めまして新井君。私はこういう者です」 男は黒い生地に細い白ラインの入ったスーツを着こなし、青いネクタイを締めている。 見た感じ30前後の短髪で、爽やかな印象のある男だ。 彼は何度も頭を下げる動作をしながら、名刺を差し出してきた。 「新井さん…………?」 男の様子と名刺を見て後輩が恐る恐る俺の 顔を覗き込む。 俺はなんだかまずいと思い、今日の飲み代にでもしろと1万円札を突き付けて、空調の室外機に向かって蹴り飛ばした。 受け取った名刺には、北関東ビクトリーズ。間違いなく、北関東ビクトリーズと書かれている。 「この後時間あるかな? ちょっと話があるんだ」 一体何の用だろうか。
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