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振り返ってみれば、高校3年間で試合に出たのは、1年秋の大会でコールド負けがほぼ確定的になってしまった寸前の1イニングを投げただけだった。
俺の高校3年間はただそれだけで、今となっては、毎年盛り上がりを見せる高校野球は、あまり目にしたいものではない。
高校野球がテレビでやっていたら、面白くなもない他のチャンネルに変えてしまうくらい。
もしかしたら軽いトラウマなのかもしれない。
中学時代の実績から周りに期待され、同世代から注目されたのも、初めのうちだけだった。
下級生にも出場機会を取られ、最後の夏もチームが敗れる瞬間をベンチの1番後ろから見ていた。
チームメイト達は最後の試合で負けて悔しい悔しいと口にしていたが、試合に出れない俺からしてみれば、悔しいなんかで表せられる気持ちではなかった。
なにもしない、なにもできないまま、高校の3年間という時間が終わってしまうのだ。
まさに腸が煮えくり返り、激しい吐き気を感じるようなやりようのない感情だ。
その時の気持ちを10年経った今も、忘れることは決してないだろう。
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