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プロ野球選手を目指そう
俺の高校野球は、なんだか不完全燃焼のまま終わってしまった。
ただヒットを打つだけの技術だけなら、俺はチームの中でも優れた方だったと、今でも胸を張って言える。
しかし、出場機会に恵まれない。監督に使ってもらえなかったのだ。
だから、最後の夏の大会で試合に負けた瞬間、俺は終わった気が全くしなかった。
周りのチームメイト達は、汚れたユニフォーム姿のまま、全てが終わったようにグラウンドにしゃがみ込んで泣きじゃくる。
それを横目にしながら、洗ったばかりのような真っ白なユニフォーム姿の俺は次の試合のチームの邪魔にならないようにと、冷静にベンチの中を片付けていた。
俺はこんなところで終わりじゃない。
そう思わなければやっていられなかった。
そう思い続けているからこそ、俺はそれから10年経っている今でも、平日の午前中からこうしてバッティングセンターに通っているのだろう。
他には誰も客のいない閑散としたバッティングセンター。
普通の人ならば、真面目に働いているこの時間に、こんな場所に通いつめている虚しさを振り払うように、機械から放たれる軟式ボールに向かって、俺は軽い金属バットを振り続けた。
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