俺がいなくなった途端、チームは突然勝ち始めた。

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「ごちそうさまでした。いつも美味しいご飯をありがとう」 「いいえ。どういたしまして」 東北遠征中のホテル飯も美味かったけれど、やっぱりみのりんの作るご飯は格別だね。 「山吹さん。今日はこれからお仕事だよね?」 「うん、そうだよ」 「その……こうしてご飯を作ってくれるようになった時は夜勤で働いているなんて知らなかったんだけど。大丈夫? これから仕事なのに、夜にご飯を作らせちゃったりして」 俺はそれが気になって仕方なかった。夜10時くらいに家を出て、朝6時くらいまで働いているんだから。 俺のご飯を作らせてしまっては、その分仕事前に大変な労力が………。 「ううん。全然平気だよ。むしろ、新井くんにご飯を作る方が私にとってありがたいの」 「え? ………どういうこと?」 「今までの私は、夜ギリギリの時間まで休んでて、仕事から帰っても特に用がなければ、ずっと家でぐーたらしてた。 楽しみや生き甲斐なんて1つもなかったの。でも、新井君と出会ってからは違う。まるで世界が変わったみたいに楽しくて仕方がないの。 だって、私の作ったご飯を美味しそうに食べてくれる人がプロ野球の世界で頑張ってるんだもん。こんなに誇らしいことなんて他にないよ」 彼女はエプロンの端をぎゅっと握りながら、時折俺に目を合わせながら、そう言葉を繋げた。 知らなかった。山吹さんがそんな風に考えいたなんて。 「だから新井くん。これからも私の作ったご飯を食べて。そして、野球も頑張って」 「………ああ! 任せとけ!!」 俺は微笑む山吹さんに胸を張ってそう言い放った。 明日から2軍に落ちるけどね!!
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