5人が本棚に入れています
本棚に追加
クリスタ
「? なぜ?」
興覇
「『その力をどうして悪いことに使うの!?』」
クリスタ
「………。僕は、存在を否定されてるんだ」
興覇
「……!」
名無しさん
「存在を否定?」
クリスタ
「そう。だから、認めてもらうんだよ。いいや。僕の存在を知らしめるんだ。僕の存在理由を作る。証明する。そのために、僕は悪い魔法使いになって世界を征服する」
興覇
「………。」
紅玲
「だったら、いいことをして認めて貰えばいいじゃない。力を悪いことに使って存在を知らしめる、だなんて下劣だわ」
クリスタ
「…僕…昔は、いいことに使ってたよ。でも、ドジばっかりで、みんなを不幸にした…。もう否定されるのが怖いんだ。僕のことを、言葉を、存在を!」
興覇
「……!」
クリスタ
「だから、否定されないように、悪い人になろうって決めた。そうすれば、もう傷付くこともない。これが僕の見つけた道……生き方なんだ!」
興覇(M)
「同じ…」
紅玲
「バッカみたい。何を怖がってんだか。否定されるのが怖い?怖がって悪い方向に進むのは答えじゃない。逃げてるだけよ」
クリスタ
「う…」
興覇(M)
「逃げ…てる…」
─書斎─
白亜
「あ…また戻ってきたね」
さっちゃん
「この、戻ってくるタイミングもよく分かりませんね」
興覇
「………。」
【ちら。と紅玲を見る】
名無しさん
「それにしても変なやつだったねー」
白亜
「ああ。人を幸せにしようとしたら不幸にして、不幸にしようとしたら幸せにして…」
興覇
「でも、彼は自分の生きる道を見つけるのに必死だった」
白亜
「そうだね。何があったのかは分からないけど、でも、紅玲の言う通り、なのかな」
紅玲
「当たり前でしょ。あたしはああいう奴嫌いなの。嫌われないことなんて絶対ないんだから、そんなの気にしてたら生きていけないわよ」
興覇
「『やっぱり、逃げては、ダメ?』」
紅玲
「逃げていても何も始まらない。傷付くことを怖れていたら、何も変わらない。あたしはそう思ってるわ」
興覇
「………。」
名無しさん
「人を言葉で傷付けるナイフの紅玲がよく言えた台詞だよ」
紅玲
「あたしは傷付くことも傷付けることも恐れてないの」
興覇
「……紅玲。 あ、ありがとう」
紅玲
「な、なんでお礼なんか…」
白亜
「あれ?今、興覇 本を開いてなかった…?」
最初のコメントを投稿しよう!