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「そっかぁ。それは怖いなぁ…。」
「それにお前いくつだ?まだガキだろう?」
「さぁ…?おじさんがそうみえるんだったらそうじゃない?」
淡々と話す少年に、男はポカン…。自分の年すら分からないのか?と少年を見た。
「ま…まぁとにかく、こっから先は準備をしっかりな。」
「ありがと、おじさん。でも大丈夫。」
「大丈夫ってお前…」
それだけ言うと、少年は再び街の出口へ向かって歩き出してしまう。男が何か言おうとした時にはもう遅く、少年の影は小さくなっていた。
「変なガキだな…」
男は心配していた。18にも満たないような少年が砂漠に無準備で行くのは危険なことくらい誰にでも分かる。
しかし、そんな心配は無用だった。
男は知らなかったのだ。先程の幼い少年が既に魔法を覚えていることを。さらにその魔法が、常人では出来ない程に、とても強力なものだということをーー。
少年の足は止まらない。真っ直ぐ、ひたすら前へ歩く。目的の定まらない足どりで、だがしっかりと。
太陽に照らされて輝く金色の髪を揺らし、少年の影は砂漠の砂嵐の中へ紛れ、消えた。
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