３月１９日

３月１９日、ニュースによれば５月中旬の気候であったというその日、私は久しぶりに父の墓へ向かった。

数年ぶりの帰省はそもそも彼岸を意識したものではなく、地元の親友の結婚式に出席するためであった。
親友の母親が式場で顔を合わせるなり「遠くからわざわざ」とあまりにも恐縮して言うものだから、久しぶりに里帰りする機会をいただきむしろ有難かったと心にもないフォローを入れた。
それを聞いた彼女が「お彼岸ですものね」と納得したように頷かなければ、私は今回の帰省がたまたま彼岸の期間だったことすら知らずにいたのだ。

そしてもし知らずにいたままなら、私は恐らく父の墓へ参ることなど考えもしなかっただろう。