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質問されたことに答えず、チラと自分の机に目を向ける。
ゴミだらけの俺の席。
指定された位置にその存在はなく、教室の隅に椅子を挙げられた形で置かれていた。
「………」
…よくも毎日飽きずにやれるもんだと、感心…思った。
感覚が少し狂った俺は、あまり痛みを感じなくなったらしい。
病院行きじゃね?と、思う。
「…っあのっ」
それでも話し掛けてくるコイツは、虐めていた一人。
可愛い顔して卑劣な事を笑いながら平気で行う―――悪魔。
「…!!」
確かコイツは族に詳しかったハズ。
ソイツの胸ぐらを掴み、耳元で呟いた俺。
「――って知ってるか?お前に会いたいらしいよ。もしかしたら生きて帰って来れないかも…」
言い終わってから、胸ぐらを放す。重力に従って落ちる顔を一瞬見た。
顔面蒼白。
証拠に総長の指輪をソイツの手に置く。
龍の模様が掛かれたゴツゴツした指輪。
俺を救ってくれた大切な人。
今の、俺の恋人。
この人なら俺を捨てないと、本能で感じた人。
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