現実

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その姿が視界に入ったとたん、あたしの心臓はどきんっと大きな音をたてた。 めちゃくちゃカッコイイ。 きっと休みの日にデートをすればこういう格好をした慎也さんに会えるのだ。 休みの日のデート。 慎也さんと付き合って半年。 会うのはいつも平日の夜だけだった。 五ヶ月前に行った他県の水族館は、平日に足を運んだ。 けれどあの日は会社カレンダーでは休みの日で、こういう何もないのに平日にお休みというのは、年に数回ある。 だからデートをしようということになった。 でも慎也さんは午前だけ仕事が入ってしまい、そのままあたしを迎えに来てくれたから、そのときの格好はスーツ姿だった。
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