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「それにしても、間に合ってよかったよ」
その言葉に視線をあげると、微笑みながらあたしの頭をぽんぽんと撫でてきた和泉さん。
その笑顔を見ながら昨日のことを思い出す。
『FLOWER RAIN』で飲んだあと、あたしのアパートまで送ってくれた和泉さんは別れ際に、
『あっそうだ。連絡先訊いていい?』
と言って、スマホを手にしながらあたしの顔を覗き込んできた。
そして赤外線で電話番号を交換したあと、
『何かあったら必ず連絡して。どんな小さなことでもちゃんと報告すること。わかった?』
と言ってきた。
その言葉にも、真っ直ぐに向けられているその瞳にも真剣さを感じて、和泉さんが本気であたしのことを考えてくれているんだと伝わってきた。
だから慎也さんからのメッセージを見たあと、あたしは迷うことなく和泉さんに連絡したんだ。
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