現実

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◇ 「ねえ、慎也さん」 珍しく情事後に起きているあたし。 「ん?」 あたしの問いかけに返事をしながら身体を起こす。 少し手を伸ばしてベッド脇にあるチェストの上の煙草をとって、それに火をつけながら慎也さんは布団から出た。 「今日は朝まで一緒にいられる?」 「……」 「慎也さん?」 あたしの問いかけに答えない慎也さんに、凄く不安になる。 けれどこの横顔……。 もしかして機嫌が悪い? 横から見ただけでも、眉間に皺が寄って不機嫌な顔をしているのがよくわかる。 それにさっきからずっと時計ばかりを見ている。 やっぱり今日も帰っちゃうの?
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