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「 そのことはいずれ教える。今は家に帰るんだ」
それはつまり、咲が望もうが望むまいが、疑問の答えを教えてくれるであろうということを示していた。
「そう……ですか。分かりました」
「俺達は後始末があるから、迎えに行けるのは二、三日後になる。それまで気をつけて過ごすんだ」
「はい……。あの……」
「ん?なんだ?」
このまま帰るわけにはいかない。まだ言っていないことがある。
「さっきは助けてくれて、ありがとうございました」
そう言って頭を下げる。数秒後に頭を上げると、豪はとても優しい表情をしていた。
「気をつけて、帰るんだぞ」
「はい」
路地裏を出て、家に帰る道を歩く。先ほどまで、命を賭けた鬼ごっこをしていたなどとは信じられないほど、静かだった。
家に入って、自分の部屋のベッドにダイブすると、眠気がどっと押し寄せてきた。ついさっきまで緊張しっぱなしだったのもあるだろう。あっという間に意識が闇に落ちていった。
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