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しばらくいくと今一番会いたかった人の後ろ姿を見つけた。
「しょ―がねぇじゃん。お前が負けたんだぜ」
「そうだ、そうだ!もっとうまくやれよな」
「んな事言ったってよぉ。あいつ感づくの早ぇんだもんよ。あ~あ、もう少し純情ちゃんとの恋愛ごっこしたかったなぁ」
……間違えるはずない。好きな人の声──。
流れていたはずの涙はいつのまにか止まっていて、気づいたらアパートに着いていた。どうやって帰ったのかも覚えていない。
なにもする気が起きなくてしばらく大学を休み、両親には嘘をついてアパートを解消して実家に戻った。
毎日のように家に押し掛けてくれた美樹以外誰も信じられなかった。
もう、あんな思いしたくない──。
恋愛なんか二度と──…
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