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「車は綺麗になるからな」
モリはそう言って少し離れてどこかに電話し始めた。
買い物袋をぶら下げてモリの通話が終わるのを待つ。明るすぎる照明に照らされて、明日からどうしようかと思い悩む。
暫くは電車通勤かぁ…
車は通勤にしか使わない。自宅から距離があるだけに明日からの通勤に気が重くなってくる。
モリはまだ話中で、私に背を向けたままだ。ずっと外にいて身体もお総菜もすっかり冷えてしまって、食べる気も無くなってきた。
ため息をついて無惨な愛車を見つめた。
「マメ、大丈夫か?」
立ち尽くす私に携帯電話を閉じながら近寄ってきたモリ。
「うん、大丈夫だよ」
素直にモリがいてくれて良かった…と感謝の思いで微笑んだ。
「タクシー呼んだから…
俺、まだここにいなきゃいけないんだ。明日には代車渡せると思うから、詳しく判ったら携帯に連絡するよ」
モリに背中を押されて、パーキングの外に出た。
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