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動き出したタクシーの中、行き先を告げてからモリに貰った飴を口に放り込んだ。
久しぶりの飴の甘さは心地よくて…。静かな車内から流れる景色をぼんやり眺める。
愛車をぶつけられて最悪なはずなのに、昔の友達との偶然の再会に気分は高揚していた。
運動神経のいいモリは人気者だった。私たちは同じクラスで隣の席になることもあったし、クラスが違っても顔を会わせば言い合うくらい仲がよかった。
長身のモリと小柄な私。不思議と気が合った私たちはデコボココンビだなんて、周りにからかわれることもあったな。
同窓会には行ってなかったから、すぐにはわからなかった。スーツ姿の人なんて見馴れているはずなのに。
中学卒業して10年…そりゃ大人になってるわ。
“お前変わらないな”
前歯を見せて笑うモリ。
モリは懐かしんで言っただけなのに。何だか置いてきぼりを喰らったみたいだった。
今日は疲れた…。
大きな息をついて、家に着くまで瞼を閉じた。
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