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そして4人は席につき、話をはじめる。
4人とも席が近いことから知り合い、今じゃ学校では常に行動を共にする仲になった。
若草は笹原の事が好きで4人でいる時は常に笹原の近くにいる。
そんな若草の気持ちを思いやり、4人でいる時は健治と橘で一緒にいることが当たり前となっていた。
健治はシスコンだが、別に妹を恋愛対象として見ているわけでもなく、健治は橘の事が気になりつつあった。
男女の仲に友情だけなんて有り得ないと思ったのもその為だ。
「ねぇ!聞いてる?」
そんな思いにふけっていると橘が健治の顔を覗き込みながらそう言った。
健治は橘の顔が近くにあるのに驚き、少し顔を赤らめる。
「な…何?」
目を逸らしながら橘に尋ねる健治。
「だから~最近、この町に流れてる噂!」
そんな健治の様子を気にもとめず、橘は人差し指を立てながら話始める。
「へぇ~なになに?」
若草が橘の話に興味を示す。
その様子に橘は嬉しそうに話を続ける。
「この世には悪があるじゃない?」
「悪?」
若草が問う。
「そう!犯罪とかそういう常識的に悪だって思うもの。」
「それがどうしたの?」
健治は橘に尋ねた。
「その悪を悪で裁く人達がいるんだって!」
橘はまるで怪談話をしているかのような形相で語りだす。
「悪を悪で裁く?それって犯罪を犯罪で裁くって事?」
笹原はほうづえをついて問う。
「さっすが美優!物分かりい~い」
橘は笹原に抱きつこうとした。
「いいから話続けて」
橘の行動をクールにかわす笹原。
橘は少ししょんぼりしながら続けた。
「黒い服を着た3人の男と1人の女。人呼んで"黒の審判"。最近、この町に現れてるって!」
「あ~なんだそれか~」
若草は残念と言うような顔をした。
「それって警察的にはどうなの?」
健治は警察官を親に持つ若草に聞いた。
若草が残念そうにしていたのは多分親から話を聞いたからだろう。
「うーん、警察としては犯罪をしているから"黒の審判"を追いたいけど密売とかの現場って分かりづらいのにそういうのも裁いて、しかも警察に手柄を分け与えてるんだよ…」
「じゃあ"悪の審判"は警察にとってはいい奴らなんだ?」
「絶対そうだよ!正義のヒーローだよ!」
橘は少し興奮気味にそう言った。
「犯罪で裁かなきゃいいんだけどなって父さんは言ってたよ!」
そんな橘を苦笑しながら若草は答える。
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