華の音。

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「うわぁ…!すごい」 桜吹雪の舞い散る中、1人の少年がその中ではしゃいでいた。 年の頃は6つぐらいだろう。 今日から新しい学期が始まると共にその少年もきらきらと眩い輝きを放っていた。 茶色のまん丸な大きな瞳は何をも包み込んでしまいそう。 肩下まで伸ばされたサラサラの茶色い髪は風になびき、まだ幼い少年の美しさを際だたせていた。 傍らにはもう1人の少年がいた。 桜の花の中で舞うように笑う自分の親友の姿をみていた。 年はこちらもまだ6つ。 黒髪で短髪の無口だが、瞳に宿る意志には強いものが見えた。 君はこっちを振り向いて言う。 「優也!こっちにおいでよ!」 こちらを向きながら、とびきりの笑顔で。 「分かったから、転ぶなよ桜花」 この、極度に女性の少ない小さな星で、 ありふれた景色と、光景。 ただ僕に特別な事があるとすれば。 「もう!聞いてる?優也」 駆け寄ってきてほっぺたを膨らませながら問う君に笑いかけると、君は直ぐに笑顔をみせてくれる。 そんな君に僕は恋をしている。
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