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「ぅわっ!?うご…うごいたっ!!」
「そりゃ動きもしますよ、プランツ・ドールですから。」
「へ…っ、ぷらんつ??」
「お客様があんまり騒ぐから、すっかり目が覚めてしまったようですね。」
「え!?ちょっと待って、どうなってんの、」
オーナーとのやり取りの最中に椅子から降りた人形(?)。
情けなくへたりこんだ俺の足の間にちょこんと座り、スーツの裾を掴むとにっこり微笑んだ。
…クラっときました。
なんて可愛いんだろう!!!
「おや、すっかり懐いてしまって…これは困りましたね。」
「えっと…、すいません…」
状況が飲み込めず混乱しきった頭でも、思わず謝ってしまうくらいの悲壮感を漂わせ、オーナーは深刻な顔してる。
「あの…、」
「こうなったらこの子は他のお客様に見向きもしなくなります。
プランツは持ち主を選びますから。」
「…なんかよくわかんないけど、売れなくなったって事?
だったら俺、この子買います!」
すると、盛大な溜息をつかれてしまいました。なんで??
「そうして頂きたいのはやまやまなんですが…お値段張りますよ?」
「…おいくらほどでしょうか…」
背中をいや~な汗が伝う。
オーナーが重々しい仕草で、懐から取り出した縦長の色紙に、さらさら~と筆で書き込まれた金額は……
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