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「プランツ・ドールって聞いた事なかったもんで…すいませんでした色々とっ」
「まあ、金持ちの道楽みてーなもんだから。」
すっかり言葉遣いが男前です。キレて素に戻ってしまったらしいオーナーにプランツ・ドールの育て方を教わってます。
「食事は2回、朝と夜に温めたミルクと砂糖菓子。
プランツとして育てるなら人と同じ食事は与えないこと。
最初の内は週に一度は連れて来て。状態見ればどんな生活させてるかすぐ分るから。手抜きしないように。」
「手抜きなんかしませんって!」
プランツ・ドールは観葉植物みたいなもので、世話怠ったり愛情を注がなくなると枯れてしまうらしい。
不思議な人形。
こうして動いてるの見てると、言葉を発しないだけで人の子供となんら変わらない。
「じゃあな。大事にして貰えよ?」
頭を撫でて優しい目をして綺麗に微笑む。そんなオーナーの言葉にこっくり頷いて、そうして俺の手を握った。
「じゃあ、おやすみなさい。」
「気をつけて。」
分けてもらった1週間分のミルクと砂糖菓子を手に提げて、店をあとにした。
月明かりの下、小さな歩幅に合わせて並んで歩く。
「これからよろしくね。」
すると、繋いだ手をきゅっと握って、目が眩みそうな笑顔をくれた。
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