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「うっす!薊ちゃんおひさぁ~!」
海棠は薊に抱き着こうとすると、ひらりと薊はそれを交わした。
「うわっ、抱き着くな!それと近寄るな!臭いぞっ!あとその呼び方もいい加減に辞めろ!」
「ううっ、相変わらずひでぇ~な…。桜ぁー、慰めてくれ…」
薊に引かれた海棠は泣きながら自分にとって一番の癒しの桜に抱き着く。
「よしよし。桐が泣き虫なのはやっぱりお父さんのせいなんだね」
「…俺、そんなに泣き虫?」
「そうですよ」
「そっか…」
桐は椿に尋ねると、即答で返って来たので少し落ち込んだ。
「お父さん。そろそろ話してくれるかな?」
桜は海棠の顔を覗き込んだ。
「…えっ、ああ、分かった!」
海棠はこのままずっと桜に癒されていたいと思っていたが、大事な話があるので仕方なく桜から離れた。
やはり、父親も桜のことを愛し過ぎているようだ。
「…薊。ここに全員集まっているという意味はもう分かってるよな?」
先程まで自分の娘を泣きながら抱き締めていた情けない父親の姿はもう無くなった。
「当然だ。しかもお前らと同じ高校だったとはな」
薊は竜胆と千を見つめながらそう言った。
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