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「…ほぉ~ら! 俺が抱っこしてやるよ! 桜は軽いなぁ~。んがぁ~」
椿の隣で寝言を言ったのは、4男の胡蝶花。情熱的で豪快な男。
「ふふ。お兄ちゃん達の夢の中には、私が出てきているのね。でも起きなくちゃいけないよぉ~?」
優しく桐の耳元で囁いた。
すると桐の顔がふにゃ~ともっと笑顔になった。
桜はそんな桐を可愛いと言いながら頭を撫でた。
撫でていると、トントンと桜の部屋をノックする音が聞こえた。
「桜。起きてるか?」
ノックをしたのは、長男の辛夷。父の代わりに大黒柱を任されている。
桜には5つ子のお兄ちゃん達がいて、シスコンである。
お母さんは桜達が幼い頃に病気で亡くなったと聞かされている。
お父さんは大の花好きで5つ子の息子達が高1になった時に、家のことを任せて、全国の花を調べに旅に出た。
そんな夫をお母さんは、天国でどう思っているのかと彼らは、そう思っている。
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