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もうすでに手遅れだった
一瞬のはずなのに、私の頭はかなり冷静に分析していて
「(あー、死んだ。)」
そう思った後は何が起こったのかは全く分からなかった
あと1mも車との差がない時
突然視界が大きく変わる
気がついたら私は空を飛んでいた
・・・いや、実際は誰かに抱かれたまま宙に浮いていた
女子の誰もが憧れるあのお姫様抱っこというやつで
普段の私ならすぐに赤面してもおかしくない
そのお姫様抱っこをしているのは、
綺麗な黒髪に一筋の紫色を帯びた若い青年
その黒い瞳は鋭く前を見ていた
さっきまで目の前にいた車は私の真下にいて
急ブレーキをかけたのか、私が立っていた所に丁度止まっていた
あのままだったら、私・・・
そう考えるだけでゾッとした
「あと少しで死んでましたよ、姫様。」
「えっ・・・。」
気がついたら私が歩いていた歩道の反対車線に着地していた
彼は私を見るとため息混じりにそう言い、微笑んだ
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