第一章

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それは、いつも決まった始まり方だった 真っ赤に燃えている炎の中に、私はひとりで立っている 別に何かをしているというわけではない、というよりも 動こうとしても体が言うことを聞いてくれない ―逃げ――さい。―に―――くなる――― 必死に動こうとしている時に遠くから男性の声が聞こえてくる 毎回、何を言っているのかは聞き取れないけど 私を逃がそうとしているようだ その声の主が知りたくて、私はその人に毎回声をかける 「待って!あなたは誰なの!」 だけどその声は届かず、声はいつの間にか聞こえなくなる これが、私がよく見る夢の話  ―舞桜、舞桜ってば――起きて―― 「んっ・・・。」 気がついたら私は机の上に突っ伏したまま寝ていた 「おはよう、園崎さん。せっかくの顔に跡ついてるわよ。」 右隣にいた国語の先生 「だから起きてって言ったのに。」 その反対側で小さく呟いているのが、昔からの友達で、隣に座っている沙羅 二人とも呆れ顔で私を見ていた どうやらやってしまったようだ
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