第一章

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目をこすりながら顔を上げると、 私の方を見ていたクラスの人たちは声を出して笑い出す 「舞桜、顔すごいことになってるよ。」 沙羅が右手に持っていた手鏡を覗き込む 「先生、トイレ行ってきます。」 私はゆっくりと立ち上がる 「ついでに眠気もとってきてね。」 ため息混じりに言う先生。未だに笑い声が聞こえる教室をあとに 少し小走りでトイレに向かった  ―放課後の教室― 「それじゃあ、プリントを忘れずに持ってこいよ。終わり。」 担任の連絡が終わり、全員が一斉に動き始める 少し待ってから教室を出ようと思った私はそのまま自分の席に座る 「あー!国語やっちゃった。」 頭をそのまま机に落として、本心を言う 「それにしても、あんたが国語の時間に寝るなんて。文系だけは得意じゃなかったの?」 悪ガキのような顔をして、思い出し笑いしている沙羅 あの後、顔を洗ってついでにトイレに行った 教室に戻ってきた時にはもう授業は終わりがけで、 席に戻る途中で笑い声が聞こえたのはきっと気のせい 「文系だから寝ても大丈夫なんですー。」 顔を上げて、ベーっと下を出して答える 「不貞腐れないの。でも、あの顔は面白かったよ。 だって、シャーペンの跡がくっきりとあるんだもの。」 今にも笑いそうな声で楽しそうに語る このままだと長引きそうだったので、私は話をそらした
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